和漢医薬学とは
和漢医薬学という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
和漢医薬学とは簡単にいうと、東洋医学の漢方と、西洋医学とを統合し研究する医学です。
西洋医学も東洋医学もそれぞれ進化してきましたが、両立は難しいとされ、これまで統合した研究は、進んでいませんでした。
お互いを補填し合えばより、先端の究極の医学になるのではないかと期待されている分野です。
そんな 和漢医薬学に関わる仕事に興味がある方は、ぜひご覧ください。
西洋医学と東洋医学の違い
西洋医学と東洋医学の考え方はそもそもが異なります。
一般的に西洋医学は直接的で、東洋医学は間接的なアプローチと言われています。
西洋医学
西洋医学は14世紀~16世紀ルネサンスが原点で、その後自然科学と結合しました。
さらに発展を遂げ、19世紀後半には近代医学または現代医学として確固たる地位を築いています。
西洋医学が直接的というのは、身体の悪いところを特定し、その部分に手術や投薬を行う治療だからです。
東洋医学
一方東洋医学の歴史はそれより1,000年も前の、5~6世紀頃から古代中国で経験医学として導入されたとされています。
東洋医学は、身体の不調そのものにアプローチしていく治療法です。
悪い部を漢方やお灸など自然のちからを利用して、根本から治療していきます。
ところで「漢方」という呼び名は実は日本でつけられた独自の医学です。
日本においても、その地域性・風土・同じ東洋人としての体質など、さまざまな類似性から、生活に取り込むようになったといいます。
本格的には、17世紀の江戸時代から、中国から入ってきて、その医療法をより体系化し発展し、私たちにも実になじみ深い医療のひとつになりました。
日本で漢方薬を処方している医師は8割を超える
薬事日報の記事によると「漢方薬を現在処方している医師は83.5%」。
記事によれば、「産婦人科・不定愁訴・更年期障害など西洋医学では治療が難しい疾患に対し、予想以上に漢方薬が使われている実態が浮かび上がった。」とあります。
▶https://www.yakuji.co.jp/entry9100.html
その効果については一定以上に効果が認められている現状があります。
また、副作用が少ないとされることなどから、患者側の要望で、医師が漢方薬を処方をするケースも増えています。
しかしながら、そんなに漢方にはエビデンスが乏しく、西洋医学だけを学んできた医師の中には、確証できず処方をしているケースもあります。
また、東洋医学を学んできた中国人の医師を雇い、処方させているクリニックがあったりもします。
しかし、その処方された薬が日本の薬事法で認められていない薬だったり、それによる副作用が問題になったりといった、悪質な違法行為があることも注意すべき点です。
多様化する漢方医学
漢方を基にして、健康や体の不調を改善する仕事も数多くあります。
そんな漢方の基本的な考え方と、漢方を発展させた学びや、仕事について紹介していきます。
漢方の基本概念
漢方薬とは、原則として2種類以上の生薬(しょうやく)を、決められた分量で組み合わせて作られた薬です。
東洋医学では患者さんに起きている体調不良は、本来あるべきバランスが乱れたことが原因として起こると捉えます。
原因を見きわめることを「証(しょう)」といい、その「証」にあった治療薬を選定し、複数の生薬を組み合わせて作ります。
「証」 とは、2つの軸から捉えられます。
- 感熱:体が冷えているか、熱をもっているかを示す
- 虚実:症状の現れ方をタイプ分けしそれに当てはめる
です。
富山大学で和漢医薬学を学びたい
医療において、病気のさまざまな原因や要因について、細かく構成要素に分けることを要素還元論といいます。
これらで導き出した現象の発見を実用化し、再現可能にしたのが自然科学を基とするのが西洋学です。
それとは別に、より「複雑系・多成分系」したのが、漢方医学をはじめとした伝統医薬学です。
参考:和漢医薬学会 | 和漢医薬学の基礎と臨床の橋渡しを推進する
2つの医学を融合して研究している和漢医薬学は、日本では唯一、富山大学に「和漢医薬学総合研究所」があります。
最先端の和漢医薬学を学び、和漢医薬学に関わる仕事に興味がある方は富山大学を目指すとよいでしょう。
もしかしたら富山の大学に通うという選択肢に躊躇する方もいるかもしれません。
しかし、最新の 和漢医薬学が学べるだけではなく、富山大学周辺は生活に困ることがないお店が程よく軒を連ね、集中して学問にはげむことができる環境が整っています。
一人暮らしをするなら富山大学周辺の学生マンションもおすすめです。
和漢薬膳師について
和漢薬膳師 とは、以前「国際薬膳食育師」という名称でしたが、現在「和漢薬膳師(薬膳マイスター)」と改名されています。
こちらは、和漢薬膳食医学会が認定する資格で、薬膳料理の知識を取得し、薬膳料理マイスターとして活躍することができる資格です。
参照:一般社団法人 和漢薬膳食医学会 | 健康の喜び・幸せを和漢膳でより多くの人に
和漢医薬学の課題
今後、後期高齢化が進む日本において、漢方薬はより私たちの健康な生活に結びつく医療として発展していくことででしょう。
それには乗り越えなければならない課題もあります。
- 和漢薬の品質管理
- 臨床研究による科学的評価
- 新薬との併用による有効性と安全性
- 和漢薬資源に関する問題
などです。
こうした課題に取り組んでいくためにも、今後和漢医薬学を学ぶ方が増えていくことが望まれています。